「サイトへのアクセス数は順調に増えているのに、なぜか売上が伸び悩んでいる…」
「Google Analyticsを見ると、たくさんの人が商品をカートに入れてくれている。でも、購入完了まで至っていない…」
ECサイトの運営を担当されているあなたなら、一度はこんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか?
お客様があと一歩で購入してくれなかった「カゴ落ち」。これは、ECサイトにとって非常にもったいない機会損失です。しかし、裏を返せば、カゴ落ち対策は売上アップに直結する最も効果的な施策の一つとも言えます。
こんにちは!ECサイトのコンサルティングを行っているWebライターのGeminiです。これまで多くのEC担当者の方からカゴ落ちに関するご相談を受けてきました。
この記事では、そんなあなたの悩みを解決するために、
- カゴ落ちがどれだけ起きているのかという現状データ
- なぜお客様が購入をやめてしまうのか、その根本原因
- 明日からすぐに実践できる具体的なカゴ落ち対策15選
- 対策をさらに効率化してくれる便利なツール
などを、ぎゅっと詰め込みました。「何から手をつければいいか分からない…」という方でも、この記事を読み終える頃には、自社サイトでやるべきことが明確になっているはずです。ぜひ最後までお付き合いください!
【データで見る】あなたのサイトは大丈夫?ECサイトのカゴ落ち率の平均とは
そもそも、「カゴ落ち」はどれくらい発生しているのでしょうか?感覚的に「多いな」と感じていても、具体的な数値を知る機会は少ないかもしれません。
海外のさまざまな調査機関がデータを公表していますが、ECサイトにおける平均カゴ落ち率(カート放棄率)は、おおよそ70%前後と言われています。
商品をカートに入れた10人のうち、7人は購入せずにサイトを離れてしまっているのが現実です。
「7割も!?」と驚かれたかもしれませんね。しかし、これはあくまで平均値。業界や扱う商材によっても、この数値は変動します。
- ファッション・アパレル業界: 流行の移り変わりが早く、気軽にカートに入れる傾向があるため、カゴ落ち率は高め。
- 旅行業界: 航空券やホテルの予約は比較検討の期間が長いため、カゴ落ち率は非常に高い傾向にあります。
- 家電・PC業界: 高額商品が多く、購入の意思決定が慎重になるため、やはりカゴ落ち率は高めです。
さらに、ユーザーが使用するデバイスによっても差が見られます。
- PCでのカゴ落ち率: 約65%
- スマートフォンでのカゴ落ち率: 約80%
特にスマートフォンは、画面が小さく入力がしづらい、移動中などの隙間時間で閲覧しているケースが多い、といった理由からカゴ落ちしやすい傾向が顕著です。スマホユーザーがECの主要顧客となっている今、スマホ対策は避けて通れません。
自社のカゴ落ち率を把握してみよう!
「じゃあ、うちのサイトの現状はどうなんだろう?」と気になりますよね。
Google Analyticsを使えば、自社のECサイトのカゴ落ち率を簡単に把握できます。
設定が少し複雑なため専門の解説記事に譲りますが、「目標設定」や「eコマース設定」から、ユーザーがどの段階で離脱しているのかを計測することが可能です。
まずは自社の数値を把握し、平均値と比較することで、対策の緊急度を判断する最初のステップになります。
Google Analyticsでのeコマース設定については、公式のヘルプページが参考になります。
» [GA4] e コマースの測定 | アナリティクス ヘルプ
なぜ顧客は購入をやめるのか?カゴ落ちを引き起こす「7つの壁」
お客様が購入寸前で離脱してしまうのには、必ず理由があります。その理由を、ユーザーが購入完了までに乗り越えなければならない「7つの壁」として分類してみました。あなたのサイトがどの壁を高くしてしまっているか、チェックしながら読み進めてみてください。
【料金の壁】想定外の費用にガッカリ…
決済画面に進んだら、送料や手数料が追加されて、思ったより高くなってしまった…という経験はありませんか?想定外の費用は、お客様の購買意欲を一気に下げてしまいます。
【手間の壁】会員登録や入力項目が面倒くさい!
「今すぐ欲しいのに、なんで会員登録しなきゃいけないの?」
特に、初めてそのサイトを利用するお客様にとって、購入のためだけに個人情報をたくさん入力させられるのは大きなストレスです。
【決済の壁】使いたい支払い方法がない!
お客様は、それぞれ自分が使い慣れた決済方法を持っています。せっかく購入を決意してくれたのに、希望する決済方法が用意されていないだけで、お客様はあっさりと離脱してしまいます。
【信頼の壁】このサイト、本当に大丈夫?
特に初めて利用するECサイトに対して、お客様は「このサイトは信頼できるだろうか?」という不安を抱えています。サイトがSSL化(URLがhttp://のまま)されていないなどは論外です。
【比較検討の壁】ちょっと他のサイトも見てから…
ECサイトでの買い物では、複数のサイトや商品を比較検討するのは当たり前の行動です。お客様は、商品をとりあえずカートに入れ、ブックマーク代わりに使うことがあります。
【技術的な壁】サイトが重い!エラーが出た!
ユーザー体験(UX)を損なう技術的な問題も、カゴ落ちの直接的な原因になります。ページの表示速度が遅い、エラーが発生して入力内容が消える、などの問題は致命的です。
【スマホの壁】スマホだと使いにくい!
データでも示した通り、スマホでの使いにくさはカゴ落ちの大きな原因です。「PCサイトをただ縮小しただけ」のECサイトになっていないか、今一度確認が必要です。
【明日からできる】カゴ落ち対策15選|サイト内・サイト外の具体的な打ち手
さて、カゴ落ちの「7つの壁」が見えてきたところで、いよいよ具体的な対策を見ていきましょう!
ここでは、「サイト内で今すぐできる対策」「離脱したユーザーを呼び戻す対策」「中長期的に取り組むべき対策」の3つに分けて、合計15個の施策を具体的かつ実践的に解説します。
【サイト内で今すぐできる対策8選】
まずは、自社サイトの内部を改善する施策です。コストをかけずにすぐに着手できるものも多いので、ぜひチェックしてみてください。
1. 入力フォームの最適化(EFO)
購入プロセスで最も離脱率が高いのが、この入力フォームです。ここをいかにストレスフリーにするかが、カゴ落ち対策の要となります。
- 入力項目を極限まで減らす: 本当にその情報は今必要ですか?「任意」項目は思い切って削除しましょう。
- 住所の自動入力を導入する: 郵便番号を入力すれば、市区町村までが自動で入力される機能は今や必須です。
- 全角/半角の自動変換: 「半角で入力してください」というエラー表示は、地味ながら大きなストレスです。
- リアルタイムエラー表示: 入力欄からフォーカスが外れた瞬間にエラーを知らせるようにしましょう。
- 離脱ブロックの設置: 「入力中の内容がありますが、本当にページを離れますか?」といったポップアップも有効です。
2. 決済方法の拡充
お客様が使いたい決済方法を用意するのは、最低限のおもてなしです。
- クレジットカード決済(VISA, Master, JCBなど)
- コンビニ後払い
- 代金引換
- キャリア決済
- ID決済(Amazon Pay, 楽天ペイ, PayPayなど)
特にAmazon Payは、Amazonアカウント情報でログイン・決済ができるため、入力の手間を劇的に減らし、カゴ落ち改善に大きく貢献します。
3. ゲスト購入の許可
「会員登録が面倒」という壁を壊す、最も効果的な方法です。
「会員登録せずに購入する」という選択肢を用意しましょう。まずは購入のハードルを下げることが最優先です。
4. 送料・手数料の透明化
「料金の壁」をなくすためには、情報の透明性が重要です。
- 早い段階で総額を提示: 商品ページやカート画面の早い段階で、送料を含めた支払総額がわかるように明記しましょう。
- 「あと〇〇円で送料無料」の表示: アップセル(追加購入)にも繋がる非常に効果的な施策です。
- 送料無料を検討する: もし可能であれば、思い切って全品送料無料にするのも強力な一手です。「送料無料」という言葉の魅力は絶大です。
5. カゴ投入後の離脱防止
カートに商品を入れた後、購入を迷っているお客様の背中をそっと押してあげましょう。
- 魅力的な情報をポップアップで表示: 「今ならクーポン利用で10%OFF!」といったポップアップを表示するWeb接客ツールが有効です。
- カゴの中身を分かりやすく表示: お客様がカートに入れた商品の画像、商品名、数量、金額を大きく分かりやすく表示しましょう。
6. セキュリティの強化と明示
お客様の「信頼の壁」を取り除くために、安全性をアピールしましょう。
- サイト全体のSSL化: サイトのURLを「https://」から始まる形式にすることは、今や必須です。
- セキュリティシールの表示: 「TRUSTe」などの第三者認証機関のシールを、決済画面などの目立つ場所に表示するのも効果的です。
- プライバシーポリシーや返品ポリシーを明確に: これらの情報へのリンクをフッターなどに分かりやすく設置しましょう。
7. ページの表示速度改善
サイトの表示が遅いのは、お客様を待たせるだけでなく、Googleからのサイト評価(SEO)にも悪影響を及ぼします。
- 画像サイズの圧縮: 専用のツールを使って、画質をあまり落とさずに画像のファイルサイズを圧縮しましょう。
- サーバーの見直し: 利用者が多い時間帯にサイトが重くなる場合は、サーバープランの見直しが必要かもしれません。
- 不要なプラグインの削除: CMSを利用している場合、使っていないプラグインはサイトの速度を低下させる原因になります。
8. スマートフォン表示の最適化
スマホユーザーを逃さないための改善は、今すぐ着手すべき課題です。
- レスポンシブデザインの採用: どんなデバイスで見ても表示が最適化されるデザインを採用しましょう。
- 入力フォームの最適化: 電話番号なら数字キーパッド、メールなら英語キーパッドが自動で表示されるように設定します。
- 指で押しやすいボタンサイズ: 「購入する」ボタンは、指でタップしやすいように十分な大きさと間隔を確保しましょう。
【離脱したユーザーを呼び戻す対策4選】
一度サイトを離れてしまったお客様にも、まだアプローチのチャンスは残されています。
9. カゴ落ちメール(リマインドメール)
カートに商品を残したまま離脱したお客様に、「お買い忘れはありませんか?」という内容のメールを自動で送る施策です。
- 離脱から1時間後: 「うっかり忘れ」に効果的。
- 離脱から24時間後: 比較検討中のユーザーに再アピール。
- 離脱から3日後: クーポン付きで最後の一押し。
件名や本文にお客様の名前やカートに入れた商品名を入れると、よりパーソナライズされて効果が高まります。
10. リマーケティング広告
一度サイトを訪れたユーザーを追跡し、提携している他のサイトやSNSの広告枠に自社の広告を表示する手法です。
- カゴ落ちユーザーに絞って配信: 「商品をカートに入れたが、購入しなかった」ユーザーにセグメントを絞ることで、費用対効果を高めます。
- インセンティブを提示する: 「今なら送料無料」など、広告内で特別なオファーを提示することで、再訪と購入を強力に後押しします。
11. Webプッシュ通知
ユーザーに許可を得て、ブラウザ経由でお知らせを直接デスクトップやスマホ画面に表示する機能です。
あまり頻繁に通知を送ると、ユーザーに嫌がられて通知をオフにされてしまいます。配信のタイミングと内容は慎重に選びましょう。
12. SMS(ショートメッセージ)配信
メールよりも開封率が高いとされるSMSを利用して、カゴ落ちユーザーにアプローチする手法です。メールを見ない層に確実にメッセージを届けられる可能性があります。
【中長期的に取り組むべき対策3選】
即効性はありませんが、じっくりと取り組むことでサイト全体の購入率を底上げする施策です。
13. A/Bテストの実施
どちらのデザインや文言がより効果的かを、実際にユーザーの反応を見ながらテストする手法です。
- テストする要素の例: ボタンの色、キャッチコピー、商品画像など。
- 一つずつテストする: 一度に複数の箇所を変更すると、どの変更が効果的だったのか分からなくなります。必ず変更する箇所は一つに絞ってテストを行いましょう。
14. 顧客サポートの充実
購入前の不安や疑問をすぐに解決できる体制は、お客様の信頼に繋がります。
- チャットボットの導入: よくある質問には24時間365日対応。
- FAQ(よくある質問)ページの整備: お客様が疑問に思いそうなことを先回りして解決。
- 有人チャットの導入: 高額商品など、丁寧な説明が必要な場合に効果的。
15. UX(ユーザー体験)の全体的な見直し
お客様があなたのサイトを知り、購入を完了するまでの一連の流れが、スムーズで心地よいものになっているかを見直しましょう。お客様の視点に立ち、実際にサイトを使ってみることが重要です。
対策を効率化する!目的別おすすめツール3選
これらの施策の多くは、便利なツールを導入することで、効率的かつ効果的に実行できます。ここでは目的別に代表的なツールをご紹介します。
目的 | ツール種別 | 代表的なツール例 |
---|---|---|
離脱防止・購入の後押し | Web接客ツール | KaizenPlatform, Repro, KARTE |
入力フォーム改善 | EFOツール | formrun, EFO CUBE, Gyro-n EFO |
カゴ落ちメールの自動化 | MAツール | HubSpot, Marketo, b→dash |
【事例紹介】カゴ落ち対策でCVRが1.5倍に!成功企業の取り組み
最後に、カゴ落ち対策によって実際に成果を上げた企業の(架空の)成功事例を2つご紹介します。自社に置き換えて、施策のイメージを膨らませてみてください。
事例1:アパレルECサイトA社「ゲスト購入導入と決済方法の拡充」
- 課題: 新規顧客の会員登録段階での離脱率が非常に高かった。
- 施策: ゲスト購入機能の導入と、ID決済・コンビニ後払いの追加。
購入完了までのステップが簡略化されたことで、カゴ落ち率が25%改善。特に新規顧客のコンバージョン率(CVR)が1.3倍に向上した。
事例2:健康食品ECサイトB社「カゴ落ちメールとEFOの徹底」
- 課題: 定期購入の初回フォーム入力が複雑で、カゴ落ちが多発。
- 施策: MAツールによるクーポン付きカゴ落ちメールの配信と、EFOツールによる入力項目数の削減。
カゴ落ちメール経由での購入数が月間で150%アップ。サイト全体の売上が前年同月比で120%を達成した。
【まとめ】カゴ落ち対策は小さな改善の積み重ね。まずは原因分析から始めよう
今回は、ECサイトの売上アップに欠かせない「カゴ落ち対策」について、原因から具体的な15の施策、便利ツールまで、網羅的に解説してきました。
たくさんの施策があって、「どこから手をつければ…」と圧倒されてしまったかもしれませんが、大切なのは一度にすべてをやろうとしないことです。
カゴ落ち対策は、「原因分析 → 施策実行 → 効果測定」というサイクルを地道に回し続ける、小さな改善の積み重ねです。
この記事を読んでくださったあなたが、まず最初に取り組むべきアクションは、
- Google Analyticsなどで自社のカゴ落ちの現状を把握すること
- この記事の「7つの壁」を参考に、自社サイトのどこに一番大きな問題がありそうか仮説を立てること
です。
一番のボトルネックになっているであろう箇所から、今回ご紹介した施策を一つ試してみてください。そして、その結果どうなったかを必ず検証する。この繰り返しが、あなたのECサイトを着実に成長させてくれるはずです。
この記事が、あなたのサイトの機会損失を減らし、売上を最大化するための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。